ゴルゴ13がM16を選び続ける理由、なぜ最新銃ではなくM16なのか？

イメージ画像：ヨムコミ！メディア作成

長年の人気を誇る名作、『ゴルゴ13』を読みながら、「主人公のデューク東郷は、なぜ今もM16を愛用し続けるんだろう？」と、ふと疑問に思ったことはありませんか？最新鋭のライフルが次々と登場する中で、ゴルゴ13がM16を愛用するのはなぜなのか、その理由が気になりますよね。

その答えは、単に「性能が良いから」という単純なものではありませんでした。そこには、超A級スナイパーの揺るぎない仕事哲学と、M16という銃が持つ本質的な特性との、驚くべきシンクロがあったのです。

この記事を最後まで読めば、なぜゴルゴ13がM16という銃を唯一無二の相棒として選び続けるのか、その深く、そして揺るぎない理由のすべてが明らかになります。彼の選択の意味を知ることで、『ゴルゴ13』という作品を、より一層楽しめるようになるはずです。

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ゴルゴ13がM16を愛用するのはなぜ？広く知られる3つの理由

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超A級スナイパー、デューク東郷、またの名をゴルゴ13。彼が長年愛用し続ける銃が「M16」であることは、ファンならずとも広く知られています。しかし、なぜ数ある最新鋭の銃ではなく、設計の古いM16なのでしょうか？その背景には、多くの人が語る合理的ないくつかの理由が存在します。

ここでは、まずゴルゴ13とM16を結びつける、一般的に知られている3つの大きな理由と、その銃が持つ基本的な特徴について掘り下げていきましょう。

軽量かつ高精度というM16の基本性能

ゴルゴ13がM16を選ぶ根底には、その優れた基本性能があります。特に「軽量さ」と「高い命中精度」は、彼の過酷な任務を遂行する上で欠かせない要素です。

M16は、開発当時としては画期的なプラスチックやアルミ合金を多用することで、本体重量約3.5kgという軽量化を実現しました。長時間、狙撃ポイントで銃を構え続けなければならないスナイパーにとって、この軽さは体力消耗を最小限に抑える大きなアドバンテージとなります。

さらに、使用される5.56x45mm弾は小口径ながら弾速が速く、反動が少ないのが特徴です。これにより、射撃時のコントロールが容易になり、アサルトライフルでありながら非常に高い命中精度を誇ります。遠距離のターゲットを確実に仕留める必要があるゴルゴ13にとって、「狙った獲物は外さない」という彼の神業を支える重要な性能なのです。

どんなに特殊な機能があっても、銃の基本である「軽くて当たる」という点が優れていなければ意味がありません。M16は、その基本を高いレベルで満たした合理的な銃なのです。

なるほど、ただ古いだけじゃない。基本性能がしっかりしてるんだな。

yuuka

世界中に広がる圧倒的な部品供給網

世界中のあらゆる場所で依頼をこなすゴルゴ13にとって、M16が持つ「部品の入手しやすさ」は生命線ともいえる決定的な利点です。

M16は、ベトナム戦争でアメリカ軍の制式採用銃となって以来、日本を含む西側諸国の軍隊や警察で広く使われてきました。その結果、銃本体はもちろん、交換用のパーツや対応する弾薬が世界中に大量に流通しています。これは、ゴルゴ13がどんな辺境の地を訪れても、現地で必要な部品を調達できる可能性が高いことを意味します。

最新鋭の特殊なライフルは、確かに性能は高いかもしれません。しかし、専用部品の調達が困難であれば、一度故障すればただの鉄の塊になってしまいます。その点、M16は壊れても「現地調達」で修理し、常に万全の状態で使用できるという、他の銃にはない圧倒的なアドバンテージを持っています。

どんな場所でも「いつも通り」の性能を維持できる信頼性。この世界規模の部品供給網こそが、ゴルゴ13にM16を選ばせる強力な理由の一つなのです。

分解・携行を可能にする単純な構造

ゴルゴ13の象徴ともいえるアタッシュケース。その中に狙撃銃を忍ばせ、何食わぬ顔で国境を越える彼の姿を思い浮かべるファンは多いでしょう。それを可能にしているのが、M16の「分解しやすい単純な構造」です。

M16は、専門的な工具をほとんど使わずに、銃中央部にある2本のピンを抜くだけで、銃身部（アッパーレシーバー）と機関部（ロワーレシーバー）に簡単に分割できます。この特徴は、作者のさいとう・たかを氏が「これならスパイのように持ち運べる」と感心し、ゴルゴ13の愛銃に選んだという逸話が残っているほどです。

隠密性が求められる任務において、武器をいかにして目的地まで運ぶかは極めて重要な問題です。アタッシュケースに収まるサイズに分解できるM16は、彼の仕事を成功に導くための必須条件を満たした、まさに理想的な銃だったのです。

さらに、この単純な構造はメンテナンスの容易さにも直結します。過酷な環境下でも迅速に清掃や部品交換ができる点は、銃を常に完璧な状態に保つゴルゴ13にとって、計り知れないメリットと言えるでしょう。

momomo

工具なしで分解できるのか！それは知らなかった。まさにプロの道具だな。

ゴルゴ13が使うM16の正式モデルは？

長年のファンであれば一度は考えたことがあるでしょう。「ゴルゴ13が使っているM16の、正確なモデルは何なのだろう？」と。結論から言うと、彼は特定の単一モデルに固執せず、状況に応じて様々なバリエーションを使い分けていると考えるのが妥当です。

『ゴルゴ13』は半世紀以上にわたる長期連載作品であり、その間にM16自体も進化を遂げてきました。そのため、連載初期に描かれたM16と、現代のエピソードで描かれるM16とでは、細部のデザインが異なる場合があります。

最も多く描かれているのは、三角形のハンドガードや固定式のキャリングハンドルが特徴的な「M16A1」や「M16A2」をベースにしたものでしょう。しかし、時には取り回しやすいカービンモデルの「M4カービン」に近い銃を使用することもあります。これは、彼がその時々の任務内容（狙撃距離、潜伏場所、想定される戦闘など）に応じて、最も適した「ゴルゴ仕様」のM16を用意していることの証左です。

つまり、彼が使うのは既製品の「M16A◯」ではなく、あらゆる状況に対応できるよう完璧に調整された「ゴルゴ13カスタム」と呼ぶべき、唯一無二の存在なのです。

M16が抱える作動不良という最大の欠陥

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ここまでM16の長所を挙げてきましたが、この銃の歴史を語る上で避けて通れないのが、「作動不良」という致命的な欠陥があったという事実です。

特に、実戦投入されたベトナム戦争の初期モデルは、高温多湿のジャングルという過酷な環境下で、弾薬の燃えカスや泥が機関部に詰まり、弾詰まり（ジャム）が多発しました。これは、銃の構造的な問題と、当時の弾薬やクリーニング用品の品質問題が重なって起きた悲劇でした。動かなくなったM16を手に、命を落とした米兵は少なくなかったと言われています。

この問題を受けて、ボルトを強制的に閉鎖させる「ボルトフォワードアシスト」がM16A1から追加されるなどの改良が重ねられました。しかし、「M16はデリケートで汚れに弱い」というイメージは、その後も長く付きまとうことになります。

これほどの信頼性に関わる重大な欠陥があった銃を、なぜ自らの命を銃に託すゴルゴ13が、今なお使い続けるのでしょうか。その答えにこそ、彼のプロフェッショナルとしての真髄が隠されているのです。

rico

そんなに致命的な欠陥があったのか…。それを使いこなすなんて、やっぱりゴルゴは凄いな。

完璧な整備術で欠陥すらねじ伏せる

M16がかつて抱えていた「作動不良」という汚名。しかし、完璧を求めるゴルゴ13にとって、それは何の問題にもなりません。なぜなら、彼は神業ともいえる完璧な整備術によって、銃が持つ本来の性能を120%引き出すからです。

ゴルゴ13は、銃を単なる「道具」としてではなく、自らの能力を最大限に発揮させるための「身体の一部」として捉えています。そのため、そのコンディション維持に一切の妥協を許しません。作中で彼が依頼を受けた後、黙々と銃を分解し、寸分の狂いもなく整備するシーンは、まさに銃との対話であり、自らの感覚を研ぎ澄ます神聖な儀式なのです。

彼はM16の構造を隅々まで知り尽くし、どんな環境で、どの部品に、どのような不具合が起きやすいかを完全に把握しています。そのため、トラブルが起きる「前」に消耗品を交換し、常に最高の状態を保つことができる。一般の兵士が扱うM16で起こり得るトラブルは、ゴルゴ13のM16では起こり得ないのです。

M16が持つ弱点を熟知し、それを自らの技術と知識で完全に支配下に置く。欠点のある銃を完璧に使いこなしてこそ、超一流のプロフェッショナルであるという彼の矜持が、そこにはっきりと示されています。

ゴルゴ13がM16を愛用するのはなぜ？性能を超えた本質的理由

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M16が持つ物理的なメリットは、ゴルゴ13がこの銃を選ぶ理由の一部に過ぎません。彼の選択の根底には、もっと深く、彼の仕事哲学そのものに根差した本質的な理由が存在します。

なぜ彼は、数々の欠点を抱えながらも、この一丁の銃に絶大な信頼を寄せるのか。ここからは、性能やスペックの比較だけでは見えてこない、ゴルゴ13とM16の魂の結びつきに迫ります。

任務で変化するスコープと特殊な弾薬

ゴルゴ13のM16は、市販のままの姿ではありません。彼の狙撃を神業の領域に高めているのは、任務に応じて最適化されるスコープや弾薬といった「周辺機器」の存在です。

作中では、超長距離狙撃用の巨大なスコープから、暗視機能を持つ特殊なスコープまで、様々な照準器が登場します。これは、彼が依頼内容を分析し、天候、距離、昼夜といったあらゆる条件を計算した上で、最も成功率の高い「目」を選択していることを示しています。M16という銃は、こうした多様なオプションパーツを装着できる優れた拡張性を持っているのです。

さらに驚くべきは、弾薬へのこだわりです。彼は風の影響を受けにくい特製の重量弾や、特定の障害物を貫通させるための特殊合金弾頭など、任務に合わせて弾薬すら「カスタム」します。彼の狙撃は、銃の性能だけに頼るのではなく、物理学や弾道学の深い知識に裏打ちされた科学的なものなのです。

信頼できる銃本体をプラットフォームとし、状況に応じて最適な「目」と「爪」を付け替える。この柔軟な運用思想こそ、M16が彼の究極の仕事道具たる所以です。

momomo

弾まで使い分けてるのか！そこまでやってるからこそ、どんな依頼も成功させられるんだな…。

なぜライバルのAK-47ではダメなのか

M16を語る上で、避けては通れないのがライバル銃「AK-47」の存在です。AK-47は「どんな過酷な環境でも確実に作動する」という驚異的な耐久性を誇りますが、ゴルゴ13がこの銃を相棒に選ぶことはありません。その理由は、両者の設計思想の根本的な違いにあります。

AK-47は、部品同士の隙間を意図的に大きく作ることで、泥や砂が詰まっても作動し続ける「信頼性」を実現しました。しかしその代償として、M16ほどの精密な射撃は望めません。AK-47は、近〜中距離で弾をばら撒き「面」を制圧するための銃なのです。

一方、ゴルゴ13の仕事は、数キロ先のターゲットを「点」として正確に撃ち抜く超精密狙撃です。彼にとっての信頼性とは、「いつでも弾が出ること」以上に「狙った場所に弾が届くこと」を意味します。多少の作動不良のリスクは、自らの完璧な整備術でカバーできる。それよりも「一撃必殺」を可能にする命中精度こそが、彼が銃に求める最優先事項なのです。

AK-47ではなくM16を選ぶという事実。それは、彼のスナイパーとしての矜持と、仕事の流儀に基づいた必然の選択なのです。

作者さいとう・たかを氏が選んだ真相

ゴルゴ13というキャラクターを生み出し、その手にM16を持たせたのは、もちろん作者である故・さいとう・たかを先生です。先生がM16を選んだ背景には、作品のリアリティとキャラクターの魅力を両立させる、鋭い慧眼がありました。

有名な理由の一つが、前半でも触れた「分解してアタッシュケースに収納できる」というスマートさ。国籍不明のプロフェッショナルが、スタイリッシュに武器を隠し持つ。このM16の特徴が、ゴルゴ13のキャラクターイメージを決定づけました。

もう一つの重要な点は、連載開始当時（1968年）のM16が持つ「新しさ」です。ベトナム戦争で投入されたばかりのM16は、その未来的でシャープなデザインで世界に衝撃を与えました。その先進的なイメージは、既存のヒーロー像を打ち破る、ミステリアスな主人公にぴったりだったのです。

リアリティを追求しつつ、読者を魅了するケレン味も忘れない。さいとう・たかを先生のこの絶妙なバランス感覚によって選ばれたM16は、今やゴルゴ13と分かちがたく結びついた、作品の魂ともいえる存在となっています。

なるほど、作者の狙いも見事にハマったわけだ。今となってはゴルゴ以外のM16は考えられないもんな。

yuuka

「単純さ」こそが最高の信頼性である

ゴルゴ13がM16を信頼し続ける、最も本質的な理由。それは、この銃が持つ究極の「単純さ（シンプルさ）」に集約されるでしょう。彼にとって、自らの手で完全に把握・管理できる道具こそが、最も信頼に値するのです。

例えば、電子制御の複雑なシステムを搭載した最新鋭ライフルは、確かに高性能かもしれません。しかし、もし電子回路が故障したら？専用の診断装置がなければ原因が分からなかったら？それは、自らの仕事に100%の確実性を求めるゴルゴ13にとって、決して受け入れられないリスクです。

M16の構造は、極論すれば「引き金を引けば、撃鉄が落ち、弾が出る」という射撃の本質を、機械的に突き詰めたものです。そこには、予期せぬ誤作動の原因となるようなブラックボックスは存在しません。全ての部品を自らの目で見て、指先の感覚で確かめ、完璧な状態に組み上げることができる。だからこそ、彼は絶対の自信を持って、引き金を引けるのです。

この「自分の手で万全を期すことができる」という感覚こそ、ゴルゴ13が求める究極の信頼性。M16の単純さは、彼の完璧主義な仕事哲学と完全にシンクロしているのです。

道具への哲学こそがゴルゴ13の流儀

ゴルゴ13のM16へのこだわりは、単なる銃の好みや性能比較を超えた、彼の「プロフェッショナルとしての流儀」そのものを物語っています。

彼は「最新の銃に仕事をさせる」のではなく、「自らが選んだ最高の道具を使いこなし、完璧な仕事をする」という哲学を貫いています。銃はあくまで彼の超人的な能力を発揮させるための「道具」であり、仕事の成否を左右する最後の要因は、常に自分自身であると考えているのです。

だからこそ、彼は道具に絶対の信頼を置けると同時に、道具が持つ欠点や限界を知り、それを自らの技術で補うことを厭いません。これは彼の有名なセリフ「俺の背後に立つな」という言葉にも通じる哲学です。彼は、自分のコントロールが及ばない不確定要素を極端に嫌います。自分で完全に制御できる単純な構造を持つM16は、決して彼を裏切らない「唯一無二の相棒」なのです。

最高の職人が、最高の道具を、最高の技術で使いこなす。ゴルゴ13とM16の関係性は、我々にプロフェッショナリズムの真髄とは何かを教えてくれる、究極の姿と言えるでしょう。

彼は今後もM16を使い続けるのか？

最後に、多くのファンが抱くであろう疑問に触れておきましょう。「ゴルゴ13は、これからもM16を使い続けるのだろうか？」と。その答えは、ほぼ間違いなく「イエス」です。

これまで述べてきたように、彼がM16を選ぶ理由は、時代と共に陳腐化するスペックの優劣ではありません。分解・携行の容易さ、部品の入手性、そして何より自らの手で完璧に制御できるという「信頼性」。これらの本質的なメリットは、今後どれだけ新しい銃が登場しても、決して揺らぐことはないでしょう。

もちろん、彼の合理主義に照らして、M16を上回るほど彼の哲学に合致した銃が現れれば、乗り換える可能性はゼロではありません。しかし、M16はもはや単なる銃ではなく、「ゴルゴ13」というキャラクターを形成するアイコンとなっています。

時代がどれだけ流れようとも、デューク東郷はアタッシュケースから慣れ親しんだ相棒を取り出し、黙々と整備を始めるはずです。なぜなら、それこそが我々が愛してやまないゴルゴ13の姿であり、彼の不変の流儀だからです。

rico

確かに！ゴルゴがM16以外の銃を使ってる姿は想像できないもんな。納得の結論だ。

総括：ゴルゴ13がM16を選ぶのはなぜか？それは究極の信頼性ゆえ

ここまで、ゴルゴ13がなぜM16を愛用し続けるのか、その理由を多角的に掘り下げてきました。

momomo

最後に、今回の記事内容のポイントをまとめます。

ゴルゴ13のように、キャラクターの生き様と「武器」が分かちがたく結びついた物語に興味を持たれた方には、こちらの記事もおすすめです。

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